Japan'70

田舎の温泉街にヘルスエンジェルスよろしく皮に身を包んだ、見るからにチンピラ風情な男達がうろうろしている。彼らこそ「カポネ団」。70年代東映のバックストリートで、これでもかというほど、縦横無人に好き勝手やらかした伝説の男達。これほどむちゃくちゃな映画は２度と作られることはないだろう。映画評論家あたりは、この映画を、もはや映画として認知していないかもしれない。しかし、それこそ「不良番長」にとって勲章である。既製の価値などでは図り得るエネルギー量ではないのだ。

「不良番長」シリーズは、６８年（昭和４３年）に公開された、東映のプログラムピクチャーの裏番組の定番。超ロングシリーズで計１６作までつくられた。内容はというと、梅宮以下、山城信吾、谷隼人、安岡力也らがそこらへんでしりあった女（大原麗子や大信田礼子など）と新宿やら、海岸やら、温泉などでふらふらし、悪の大組織と大喧嘩するというだけのもの。これ以上くだらない映画というのもそうないだろう。しかしこの映画の魅力というのはそんなところで判断してはちょっとまずい。この映画の魅力は「時代の躍動」でみなぎっていることだと思う。この時代にしか存在しえなかった強烈な感覚が、チーズやワインのように時と共に熟成していくものがこの「不良番長」なのではないかと思う。