藤圭子70'sフィルモグラフィー

1950年代から60年代にかけてひとつのジャンルとして確立していた歌謡映画。圭子さんがデビューして人気絶頂だったころは大衆の興味は映画よりもテレビとなっていった頃だと思いますが、圭子さんの人気にあやかった歌謡映画や伝記映画も数本製作されていたようです。
どの映画もかつては観るのが非常に困難でありましたが、DVDの急速な普及と70年代サブカルチャー文化の定着によりDVDでの再発がされたり、また地道にテレビ欄を追いかけていればCS放送などで放送される可能性もいまの時代ありそうです。現に「涙の流し唄」と「わが歌のある限り」が数年前に黒沢進氏プレゼンツで中野の映画館で奇跡的に再上映され、スカパーでも「盛り場流し唄」が放映されたこともありました。近年では2013年3月に阿佐ヶ谷ラピュタでも「我が歌の〜」が上映されましたが私はことごとく見逃しております。
数年前に廉価版でビデオ化された「ずべ公番長」はビデオを購入し見る事ができましたが、2008年にDVDでも再発されました。「女子学園/やばい卒業」も2012年にDVDで再発され両作品とも入手可能です（2013.10現在）。残りの3作品と、テレビ東京で製作され放映されていたらしい「演歌の星」という番組は死ぬまでに一度観たいものです。
盛り場流し唄　新宿の女
（1970年日活）

原作：川内康範
監督：武田一成
脚本：山本英司/来栖三郎
音楽：鏑木創
出演：山本陽子/北林早苗/大信田礼子/月亭可朝/小松政夫/藤圭子

交通事故を起こした父の借金を払う為ホステスに身をやつした女子大生が主人公の典型的歌謡映画。クラブ歌手役の藤の出演シーンは、「新宿の女」「女のブルース」「夢は夜ひらく」の3曲を歌うシーンがあり、いずれもワンコーラスでレコード音源でセリフもわずかとのこと。北林早苗のリクエストに応えてもう一回歌う「女のブルース」のみ映画用の新録音。
※この音源はHOTWAX企画のCD「新宿の女/盛り場仁義」で聴くことができます。

　
　

新宿の女」
ロビーカード
ずべ公番長　夢は夜ひらく
（1970年東映）

監督：山口和彦
脚本：宮下教雄/山口和彦
音楽：津島利章
出演：大信田礼子/橘ますみ/賀川雪絵/宮園純子/谷隼人/左とん平/梅宮辰夫/藤圭子

キャバレーの利権をめぐるスケ番任侠映画。70年代の東映プログラムピクチャーによくありがちな設定。藤は流しの歌手役で大信田礼子たちのいるスナックで「命預けます」を歌う。映画用の新録だがワンコーラスのみ。
ほんの少し大信田礼子やスナックのママとのセリフがあるだけで出演シーンは結局数分。タイトルバックとエンディングの「夢は夜ひらく」も映画用の新録。
「ずべ公番長」シリーズは
東映よりDVD化されております。（AMAZONで注文）

【スペック】
●映像特典(予定)
◆フォトギャラリー
◆予告篇
●ピクチャーレーベル
●ニュープリント・コンポーネントマスター

DSTD02857/4,500円(税込4,725円)/COLOR/本編87分(予定)/片面1層/1.主音声:モノラル/16:9LB(シネスコ)
涙の流し唄　命預けます
（1970年松竹）

監督：市村泰一
脚本：恩田誘/広瀬襄
音楽：鏑木創
出演：目黒祐樹/生田悦子/佐藤友美/藤村有弘/伴淳三郎/坂上二郎/応蘭芳/田中小実昌/藤圭子

目黒祐樹と生田悦子の恋愛もので、藤は友人の流し歌手役で準主演扱いでの出演だが、セリフは全て吹き替えらしい。劇中「命預けます」「女のブルース」「夢は夜ひらく」の3曲を披露しており、中でもビルの屋上で歌う「女のブルース」はレコード以上に素晴らしい出来であるとのこと。

「命預けます」ロビーカード

　
女子学園　ヤバい卒業
(1970年ダイニチ映配)

監督：澤田幸弘
脚本：棚田吾郎
音楽：玉木宏樹
出演：夏純子/池部良子/有崎由見子/城野ゆき/岡崎二朗/藤圭子

夏純子主演のにっかつ得意の学園青春騒動コメディ。藤は本人役で現実のスター歌手として、大ホールで「女は恋に生きてゆく」を歌うシーンがありますが、完全に内容とは関係なし。当時日本テレビで「演歌の星」という番組が放送されていたが、その公開放送時の模様が本編にほぼ関係ない形で挿入されている。岡崎二郎が楽屋に圭子さんを訪ねていくのだが、門前払いされてしまう。
圭子さんはかなり落ち着いた感じでさらっと歌い上げているが、その感じも非常に粋に感じる貴重な映像です。
またこの映画にはデビュー前の吉田拓郎が公園で「青春の詩」を歌うシーンあり。

女子学園 ヤバい卒業はDVD化されております
（AMAZON）

販売元: Happinet(SB)(D)
リージョンコード: リージョン2
DVD発売日: 2012/04/03
価格3,990円
藤圭子　わが歌のある限り
(1971年大映)

監督：長谷和夫
脚本：宮川一郎
音楽：木下忠司
出演：田村亮/扇千景/左とん平/天知茂/長門勇/坂上二郎/伴淳三郎/藤圭子

藤圭子映画の決定版ともいえる唯一の主演映画。旅回りの浪曲師の娘として生まれ、北海道で育った幼少時代や、母に替わって舞台で歌を披露しそこで喝采を浴びたことで少女歌手として活躍し、才能を認められ上京、そしてデビューまでのドラマが綴られてゆく…という藤圭子の自伝映画
映画のクライマックスは、実際のステージでの藤圭子ワンマンショーの映像となり、ヒット曲や股旅姿で「潮来笠」など8曲を披露するファン垂涎ものの内容。
このワンマンショーの内容だけでもボックスセットの特典DVDなどにならないものでしょうか…

追記1：この映画、十数年前に東京中野の名画座で奇跡の再上映がされていたのですが、見逃しておりました。本当に悔やまれます。

追記2：2013年3月にもラピュタ阿佐ヶ谷で「歌謡映画特集」の際に上映されておりましたがこれも見逃しました。非常に残念でした。